レーザのエネルギー密度と光強度の単位について

最近、複数の方と単位(定義)について議論する機会がありましたので、ちょっと調べてみました。2009年の学会誌「応用物理」第78巻 第11号 1073頁 慶応大学の斎木先生が執筆された「基礎講座 <今さら聞けない? 基礎中の基礎> 」に、ばっちりな記載がありました。ネットで読めます。これを基本とします。

光も電磁波ですから、(大学1年で受けた電磁気の講義を思い出しました)電磁波のエネルギー密度は、電場ベクトルEと磁束密度ベクトルBの外積の発散を透磁率で割って「J/m3」になります。エネルギーの流れを表すポインティングベクトルSの大きさは、単位面積を単位時間に通過する電磁波のエネルギーで、電磁波の「強度(光強度)」として定義され、平均エネルギー密度に光速(m/s)をかけたもので、単位としては「J/s/m2W/m2」となります。業界では通常「W/cm2」が使われますね。

しかしながら、光のエネルギー密度を光強度と呼ぶ人がいたり、逆もあったり、「密度」の意味が体積だったり面積だったり、パワー密度という用語も使われますので、議論が噛み合わないことがあります。当社蛍光板のCWダメージ閾値は、単位を「W/cm2」で表示しておりますが、これをダメージが発生するレーザ光のパワー密度と誤って言ってしまうと、では単位は「W/cm3」ではないかと言われたりします。光強度が正しいです。最近、標準化を担当されている委員の先生ともお話をする機会がありますが、自分も「密度」、「強度」という用語、単位には気をつけたいと思います。