レーザ加工光学系の収差が半端ない件(2)

集光ビームプロファイルに対するレンズの収差の影響の比較のため、今度は平凸レンズより収差の小さいアクロマティックレンズのペアを用いた集光プロファイルのシミュレーションを行いました。アクロマティックレンズはその名の通り色収差が補正されたレンズですが、球面収差も同時に改善されています。下図はシミュレーションした光学系の構成です。光源1は(1)と同じくファイバーレーザを想定しΦ200μmの面光源、レンズは外径Φ50mm、焦点距離250mm、レンズデータはEdmund社製のTSアクロマティクレンズ#49393のZmaxデータを取り込んでいます。このアクロマティックレンズは、接着剤で接合したダブレットなので、実際には高出力レーザに使うことが出来ませんが、収差による影響を理解するには問題ありません。2~7はソフト上のレンズの面番号、レンズの間隔は焦点距離の約2倍の500mm、8がターゲット面です。光線も(1)と同じく、光源1のΦ200μm面中のランダムな点から、放射角(全角)10deg(NA0.087)の中のランダムな角度で1本を発生させ、合計100万本の光線でターゲット面上での規定のピクセル内に到達した本数をカウントし、強度プロファイルを計算します。下の図は光線を50本に間引いて描画しています。

下図は横から見た集光位置近傍の光線の拡大図です。ウェスト④の位置を基準に左右1mm間隔でターゲット8を動かして、強度プロファイルを計算しました。断面プロファイルはピークで規格化しています。

①から⑦までのターゲット位置において計算された断面プロファイルは以下です。

(1)の平凸レンズとはだいぶ違いますね。特にダーゲット位置④でのプロファイルは、光源のニアフィールド((1)参照)と見間違うくらいの再現性です。これぞシミュレーションという結果です。レンズの収差の違いが集光プロファイルにこれほど大きく影響するとは思いませんでした。と言うか、平凸レンズの収差による集光ビームの劣化があまりに酷すぎて驚き。使えないですね平凸レンズこんなのをリレーレンズに使ってビーム径を測定していた自分が馬鹿みたいです。どおりでおかしいと思った。今回は同じ焦点距離のレンズをペアにしましたが、異なる焦点距離のレンズをペアにした拡大や縮小光学系でも、集光に平凸レンズを使えばその大きな収差によるビームへの影響は変わらないと思います。御社のレーザ加工光学系はどうでしょうか。また微小ビームをレンズで拡大してカメラで測定するプロファイラも各社から製品がありますが、レンズの収差は大丈夫でしょうか。

今回、上の図④でかなりいいところまでいったので、非球面レンズでの計算はしていませんが、さらに収差が改善されるはずです。集光ビーム径Φ200μmではアクロマティックレンズと差が出ないかもしれませんが、1桁小さいΦ20μmとか、微小スポットに絞る場合には、非球面レンズを使わないと再現できないかもしれません。

ちなみに当社FIT式のプロファイラBPFシリーズ本体の蛍光像の結像光学系には、アクロマティックレンズを使用しています。しかしビーム(蛍光像)が小さくなるとアクロマティックレンズでも、収差が問題となり像がボケますので、さらに収差を抑えるような工夫を加えて高精度、高分解能を維持しています。またBPF-S1000では、高価ですが非球面レンズを使用しています。